ロサンゼルス発 グランドキャニオン日帰りツアー

2010年の夏、待ちに待ったその日はやってきました。“グランドキャニオン日帰りツアー”。今年の家族旅行のメインイベントです。7時15分、宿泊しているハリウッドのホテルまで山口さんが迎えに来てくれました。空港へ向かう間の山口さんのトークは面白くて抱腹絶倒ものです。

出発空港はロサンゼルスのホーソン空港。注意事項などの説明を受けた後、“さあ、ではグランドキャニオンに行きましょう！”と出発ロビーから乗り込みです。何とも言えないわくわくした気分になりました。私たちを連れて行ってくれるのはフェアチャイルド・メトロライナー。スマートでとても美しい機体です。そして、パイロットは塩見さんと中村さん。操縦席は開放されているので操縦の様子が分かります。

グランドキャニオン空港までは約80分のフライトです。小型のプロペラ機ですが全く揺れません。最初はしゃいでいたみなさんも、そのうち私を除いて気持ちよさそうに寝ています。眼下に見えるのはどこまでも続くモハビ砂漠です。今回のフライトではちょっとしたハプニングがありました。とっくにグランドキャニオンに到着していい時間なのに一向に着陸しません。空港上空を幾度も旋回して何かを待っている様子です。その理由は、アメリカ政府要人が乗っている“エアフォース２”がほぼ同じ時刻に到着するため、我々を含め全ての航空機がある一定の距離で待機させられていたのです。20分の旋回後着陸。いました、いました“エアフォース２”。なかなか美しい飛行機です。

木造の小さなターミナルからバスへ向かいます。ドライバーはアメリカ先住民ナバホ族の血を受け継ぐギャリーさん。とてもやさしくておもしろい人です。そして、さらに楽しいのはパイロットの中村さんが、そのままツアーガイドとなってしまうのです。今日はお年寄りが２人いらしたので、サポートのため送迎の山口さん（実はこの方もパイロットです）も一緒です。この２人のトークは並みのお笑い芸人もかなわないほど面白いです。空港から約１０分でグランドキャニオン国立公園入り口に到着します。

バスを降りると乾いたさわやかな空気、どこまでも澄んだ青い空にまず癒されます。そして、説明を聞きながら歩いていると目の前にとんでもない景色が飛び込んできました。すかさず中村さんが“ようこそグランドキャニオンへ！”その広がる風景はあまりにも雄大すぎて言葉になりません。みなさんもしばらくは声を無くした状態で立ち尽くした後、歓声を上げていました。このマーサーポイント展望台では真っ青な空と、白い雲、大峡谷を形成する赤茶けた岩山と断崖絶壁が何とも言えない情景を醸し出しています。あちらこちらへとカメラを向けるのですが、写真ではこの雄大な景色を表現することはできないと思います。

次はブライト・エンジェル・ロッジ展望台へ移動です。バスからグランドキャニオン駅を見ながら５分程で到着。ここでは展望台での見学ではなく、ロッジに裏側にあるグランドキャニオン峡谷トレイルの出発点まで歩きました。谷側はちょっと怖いので山側に沿って下って行くと、突然シカが我々を横切っていきました。先住民の赤い壁画がある付近で戻ります。細い道を歩きながら眺める大峡谷は最初のポイントとは違い、より身近にグランドキャニオンを感じることができます。短い時間でしたがグランドキャニオンの絶景を目に焼き付けることができました。

ロサンゼルスに帰る前にレストラン・キャニオンプラザでビュッフェ（食べ放題）での昼食です。列に並んでいる間にも中村さんと山口さんの爆笑トークは続きます。食事も美味しかったですが、ここで飲んだビールも最高でした。

帰りも“エアフォース２”の出発時間と重なりましたが、みんなで手を振って“エアフォース２”を見送り、大きな遅れもなく我々もロサンゼルスへ出発です。ホーソン空港に到着後は山口さんのトークを聞きながらホテルへ。東京から函館へ日帰り旅行したと同じ距離なのですが、わが家族は疲れもなくとても充実した一日を過ごすことができました。

このツアーを総括すると、送迎も含めて愉快で楽しく、癒されて感動し、またとても勉強になるツアーです。コストベネフィットはとても高いと思います。スタッフのみなさん素敵な旅をありがとうございました。